旧耐震基準の住宅には3点のリスクが?
昔の建築基準法をもとに施工された住宅を旧耐震基準の住宅といいます。
そんな旧耐震基準の住宅には、
- 地震に弱い
- 住宅ローンを組みにくい
- 税制優遇がない
という3点のリスクがあります。
こちらの記事では、上記3点のリスクについて詳しく解説します。
旧耐震基準の住宅とは?
旧耐震基準の住宅を購入する場合のポイントをお話しする前に、そもそも旧耐震基準の住宅について簡単に解説します。
旧耐震基準の物件とは、1981年5月31日以前に建設された住宅のことです。
1978年の宮城県沖地震の被害を踏まえて建築基準法が改正され、耐震基準が引き上げられたのです。
旧耐震基準の住宅を買うにあたっての注意点をご紹介
旧耐震基準の住宅は地震に弱いのが最大のリスク
さて、そんな旧耐震基準の住宅を買うにあたって最も気をつけたいのは、やはり地震に弱いという点でしょう。
具体的に言うと、旧耐震基準は震度5強の地震に対して倒壊または崩壊しないレベルとしています。
裏を返せば、震度6弱以上の地震への耐久性を保証していないということです。
日本では2015年以降だけでも震度6弱以上の地震が8回記録されています(2019年2月現在)。
では、対策としてはどのようなものがあるのでしょうか。
- 耐震補強をしているかどうか
- 地域ごとの地震によるリスクのチェック
旧耐震基準でも耐震補強をしていれば、新耐震基準なみの耐震性を持つ家はあります。
また、自治体が地域危険度測定調査 地域危険度一覧表などを発行している場合があります。
この資料は地盤の固さや建物の密集度などを加味し、地震による倒壊や火災のリスクを可視化しているものです。
旧耐震基準の住宅を買う場合は、地震に対するエリアごとのリスクをしっかり確認しておきましょう。
旧耐震基準の住宅から引っ越す際に住宅ローンを組みにくい
旧耐震基準の住宅から別の場所に引っ越す際に、住宅ローンが組みにくいこともリスクと言えそうです。
住宅ローンを組むときに、銀行は以下の点を審査します。
- 年収や年齢
- 勤務先の規模や勤続年数
- 雇用形態
- ほかの借入
- 過去の延滞履歴などの信用情報
- 融資する物件の担保価値
基本的に借入者の年収や雇用形態などが審査の対象となっていますが、物件の担保価値が審査対象になっている点にも注意が必要です。
これは、融資する金融機関は住宅に抵当権(担保)を設定するからです。
抵当権は、借入者が住宅ローン返済を延滞したときに、その住宅を売却できる権利です。
金融機関は万が一のときのために抵当権を設定するので、住宅の資産価値が低いと融資を渋ります。
旧耐震基準の住宅の場合、築年数的、建物強度の両面から、担保価値が低いと判断されてしまうのです。
その結果、金融機関からの融資を受けにくいというデメリットが生じます。
旧耐震基準の住宅には税制優遇がない
旧耐震基準の住宅を買うにあたって気をつけたい3つ目のポイントは、以下の税制優遇がないという点です。
まずは住宅ローン控除が使えないことがデメリットとして挙げられます。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んだ後10年間にわたり、年末のローン残高×1%が税金から控除される税制優遇です。
上限はあるものの、年間で10万円単位のお金が戻ってくることもあるので、住宅取得者にとってはメリットが大きい制度になります。
しかし、この住宅ローン控除は以下のように、構造によって築年数の要件が決まっています。
- 非耐火住宅(木造一戸建てなど):築20年以内
- 耐火住宅(マンションなど):築25年以内
先述のとおり、旧耐震基準の家は1981年以前に建てられた住宅のことなので、住宅ローン控除には
ただし、改修工事によって現在の耐震基準を満たすことができれば、耐震基準適合証明書を取得して住宅ローン控除を受けられるようになります。
また、贈与税や不動産取得税、登録免許税といった優遇も受けられません。
住宅のために直系尊属(父、母、祖父母のこと)から贈与を受けると、条件を満たせば500万円から3,000万円の贈与が非課税になります。
しかし、住宅ローン控除と同様、旧耐震基準の住宅の場合は耐震適合証明書が取得できないと、この税制優遇は適用になりません。
また、不動産取得税・登録免許税にも優遇がありますが、同じく耐震適合証明書がないと適用になりません。
中古住宅を購入する際は耐震補強が必須
旧耐震基準の住宅には
- 震度6弱以上の地震に対するリスク
- 各種税制控除が受けられない
などといったリスクがあります。
そして、この2つのリスクは耐震補強をおこなえば解消することができます。
耐震補強の費用も考慮したうえで、中古住宅を探してみてはいかがでしょうか。